オペアンプ(反転増幅回路編 その2)

投稿者: | 2025/06/25

以前、オペアンプ(反転増幅回路編)で一度計算しましたが、反転増幅回路は電流、非反転増幅回路は電圧を使って計算していました。色々な教科書やWebでも反転増幅回路は電流を使って計算されています。反転、非反転で解析方法に差があるのを気持ち悪く思う方もいらっしゃると思います。(いない?)
なので、今回は電圧を使って計算してみたいと思います。まぁ、当然、結果は同じになるのですが…

反転増幅回路

理想的なオペアンプを使った反転増幅回路です。出力のVoutがR2を介して−入力端子に入力(帰還)されている帰還増幅回路です。この増幅回路の電圧利得(増幅率)を求めます。
なお、理想的なオペアンプは、以下の特性をもっているものです。

  • 入力インピーダンスが非常に高い(無限大)
  • 出力インピーダンスが非常に低い(ゼロ)
  • オープンループ電圧利得(ゲイン)が非常に高い(無限大)
  • 周波数特性が非常に良い(遮断周波数が無限大)
  • その他の特性も理想的(笑)


\begin{align}
入力信号電圧: &v_{i} [V]\\
出力信号電圧: &v_{o} [V]\\
入力抵抗: &R_{1}[\Omega]\\
帰還抵抗: &R_{2}[\Omega]\\
差動(誤差)電圧: &e [V] (注)自然対数の底eではありません。\\
オープンループ電圧利得: &-A
\end{align}

では、計算してみましょう。


オペアンプは差動増幅回路です。\(+\)入力端子と\(-\)入力端子の電位差(電圧)を\(A\)倍して出力します。
回路図では極性を逆にし \(-\)入力端子と\(+\)入力端子の電位差を\(e\)としたので\(-A\)倍になります。
つまり、
$$
\begin{align} -eA = &v_o \\
変形して e = &\frac{-v_o}{A} \tag{1}
\end{align}
$$
また、\(+\)入力端子はGND(= 0 [V])に接続されているので、\(a\)点の電圧は\(e\)になります。
オペアンプの入力インピーダンスが非常に高く端子には電流が流れないとすると、\(-\)入力端子\(a\)の電圧\(e\)は、$$e = v_o + \frac{(v_i – v_o)R_2}{R_1+R_2} \tag{2}$$です。
(1)と(2)から、
$$
\frac{-v_o}{A} = v_o + \frac{(v_i – v_o)R_2}{R_1+R_2} \tag{3}
$$
(3)の両辺に\(R_1+R_2\)をかけて
$$
\begin{align}
-(R_1+R_2)\frac{v_o}{A} = &(R_1+R_2)v_o + (v_1-v_o)R_2 \\
=&(R_1+R_2-R_2)v_o + R_2 v_i\\
=&R_1 v_o + R_2 v_i
\end{align}
$$
整理して
$$
\begin{align}
-(\frac{R_1+R_2}{A} + R_1)v_o = R_2 v_i\\
v_o =-\frac{R2}{\frac{R_1+R_2}{A}+ R_1}v_i \tag{4}
\end{align}
$$
(4)から利得\(G = \frac{v_o}{v_i}\)を求めると、
$$
G = \frac{v_o}{v_i} = -\frac{R2}{\frac{R_1+R_2}{A}+ R_1} \tag{5}\\
理想オペアンプでは A は非常に大きいから A \rightarrow \inftyとすると\\
\frac{R_1+R_2}{A} \rightarrow 0 \\
よって、
G = \frac{v_o}{v_i} = -\frac{R2}{R_1}
$$

当然ながら、同じ結果になりました。

バーチャルショート/イマジナリーショート

(1)式からわかるように、\(+\),\(-\)端子間の電圧は、\(v_o\)をオープンループゲイン\(A\)で割ったものになります。実際の回路では、(一般的な)オペアンプの出力は電源電圧を超えることはできません。したがい、\(v_o\)は数V~数10V程度です。これに対し、Aは周波数によるものの低域では 100dBぐらいあります。100dBは\(10^5\)倍です。
つまり、仮に出力の振幅が\(1[V]\)だとしたら、\(e = \frac{1}{10^5} = 10^{-5} [V] = 10 [\mu V]\)となり、
非常に小さく、”ほぼ0″とみなせるということです。この時、「\(+\),\(-\)端子間は、短絡しているのとみなしても、まぁ大きくは違わない」ということです。
なお、これが成り立つのは、差動増幅回路が負帰還増幅器として動作している状態に限ります。
例えば、同相電圧範囲を超えたりした場合は成り立ちません。

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