ICOM IC-Δ1000を修理?した

投稿者: | 2025/05/09

またまた懲りずに1200MHz対応の無線機を落札してしまいました。ICOM IC-Δ100(delta100, d100)です。調べてみると以前修理したIC-3700よりも前に発売された機種のようです。しまった!そんなに古い機種とは思っていませんでした…(笑)

落札したリグにはマイクが付属していませんでした。今になって思えば、これが一番の敗因だったのかもしれません。出品者はこれまで複数台のIC-Δ100を出品していました。全て、動作確認未。無線機を主に出品しているにもかかわらず、この機種だけ電源ONの確認だけで動作は未確認とのこと、ここで怪しいと気づくべきでした… 気づいたのは、入札してしまってから(笑) 今度から気を付けます。

さて、到着したリグを確認すると、電源は入りました。出品の写真通りです。送信は…と手持ちのマイクを接続しようと思ったら、コネクタのサイズが違うではありませんか!最近の機種はモジュラー8ピン(RJ45)が主流で、ちょっと古い機種はモジュラー6ピンのものもありますが、なんとこの機種は4ピンなんです(驚) RJ9/RJ10/RJ22の4P4Cと呼ばれるものらしいです。
今どき、そんなコネクタは電話のハンドセットと本体をつなぐ線ぐらいです。とりあえず、AMAZONで圧着工具とコネクタを調達しました。

ICOMのWebサイトから、取扱説明書をダウンロードしてマイクコネクタのピン配置調べ、手持ちの8ピンマイクとの変換コネクタを作成しました。

取扱説明書から抜粋

なんと、この機種はワイヤレスマイク仕様だったのですね。IC-3700で赤外線方式に変わったということは、微弱電波方式は何か問題があったのでしょうかね?
まぁ、この時点では、直ぐに動くだろうと楽観していました。
ダミーロードに接続し、作った変換ケーブルでマイクを接続してPTTを押すと、ほら、パワーが…あれ、出ていません。そもそも送信に切り替わっていません。

仕方がないので、分解です(喜)

サービスマニュアルは、海外仕様のものが入手できましたが、どうやらワイヤレスマイクの仕様は日本だけなのか、肝心のコントロール基板の回路図は、全く別物のようです。それでも、PTTの基本的なところは一緒だろうと、実物と比較しなから追いかけていくことにしました。

先ずはマイクコネクタの回路を探さないといけませんが、探すのにしばらく時間がかかりました。

どうやら、ここのようなのですが、PTTという見慣れた名称ではなく、WDATAとなっています。う~ん、ワイヤレスマイクだからな?
これの先は、おやおやIC21のコンパレータに入っていますね。

回路を追いかけてみると、コンパレータの出力がQ14のマイク入力のFETスイッチも制御しています。
送信時マイク入力のFETがONになるには、IC21の出力はLでないといけませんね。IC21の+入力の電圧は約2Vです。-入力はGNDにプルダウンされています。ん?ということは、WDATAがPTT信号だとすると、PTT ON(送信)時、-入力を2V以上に上げないといけないことになります。一般的な無線機は、PTT ON時は Lにひっぱるようになっているのがほとんどだと思いますから逆ですね。
しかも、コンパレータの出力の後にIC18シュミットトリガのインバータが入っています。コンパレータの出力をオシロでみると、受信状態(マイクコネクタをオープン)でも、完全なH(+5V)ではなく、時々ちょっと下がるような波形が見られます。なるほど、だからシュミットを入れて、波形成形(ノイズも除去)しているわけかな?ひょっとして、なかなか きわどい、いやいや苦労した 設計じゃないでしょうか?
実機の方は、IC18のピンが浮かされています。何か改造しようとしたのかな?幸いにもピンのハンダが外されていただけで部品は残っていたので、元通りにハンダづけしなおしました。

Q12のBにPTTとGNDがあります。どうやらテストポイントのようですね。PTT信号であるWDATAのラインは、IC21コンパレータとIC18シュミットトリガを通ってMICDATAと名前を変え、IC11に入っています。
IC11の18ピンからはPTT信号が出ていて、先ほどのQ12のPTTのテスト信号とダイオードORされています。試しにQ12のPTTテストポイントをGNDに接続すると、ちゃんと送信しました。とりあえずは、壊れてはいないようです。しかし、IC11のMICDATAを単純にH,Lするだけでは送信にはなりません。

考えました…

IC-Δ100の専用ハンドマイクHM-71があれば動作を確認できるのですが、持っていないの想像するしかありません。多分、PTTの信号は、リモコン信号のようなコードになっているのではないでしょうか?つまり、PTT-ON,PTT-OFFのようなコード(H/Lする信号)をHM-71から送信しているのではないかと。また、HM-71についているスイッチもコードとして送られているのではないでしょうか?そして、このコードをIC11でデコードして、キー信号としてマイコンIC3に送っているのではなかろうか?

そうなると、HM-71を持っていない私には、コードを解析することもできないので、PTTを強制的にH/Lするしかありません。

PTTの条件は、少なくとも以下を満足しないといけません。

  • マイクコネクタをオープンにしたときに、受信状態をキープする(送信状態にならない)
  • PTTを押すと、マイクの音声を通すために Q14のGがLになる
  • WDATAに少々のノイズが入っても誤動作しない
  • 改造はなるべく少なくし、HM-71が入手できたときは簡単に元に戻せるような改造にとどめる。

また、考えました…
結果、こんなふうにしたら動くんじゃないかと

  • PTTのロジックは H(約3V以上)で 送信、L(GND)で受信とする
    普通のマイクが使えるように、PTT信号は変換コネクタで反転させる
  • ノイズ対策のため(?) IC18の出力をPTT信号につかう
  • Q12のテストポイントを直接制御する
    IC18で極性が反転するので、Q12の前段にデジトラを追加して極性を反転させる

こんな感じの改造になりました(笑)
ダミーロードを使って、テストしたところ変調もきちんと乗って、パワーもまぁまぁ出ていました。
あとは、切れた照明の豆球を交換する程度で使えるようになりそうです。

いろいろと試してみましたが、実は専用マイクであるHM-71があれば、こんな改造をしなくてもちゃんと動作したのではないかと思います。
と、いうわけで、今回は、読者の皆さんはHM-71がついていないIC-Δ100には手を出さない方が良いかもしれませんよ~という内容でした(笑)
そして、将来HM-71を手に入れた時に改造を元に戻すための備忘録です。
ICOMさんは、機能優先で互換性の優先度は低いのかな?先日は、別のICOMマイクではまりました。
一つ経験値がアップしたかもしれません(笑)

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