YAESU FT-8800 430MHz パワー出ないを修理した

投稿者: | 2025/07/16

ローカルさんから、中古で入手したYAESU FT-8800の430MHzの出力が出ないと相談され、久しぶりに無線機を修理しました。話をきいたときは簡単に修理できるかなと思ったのですが、結構時間がかかりました。

症状は、「144MHzは問題なく送信できるが、430MHzは出力がでない」ということでした。
FT-8800のファイナルは、モジュールではなく、ディスクリートのFETで144,430共用です。つまり、144MHzでパワーが出ているのであれば、おそらく430MHzのアンテナスイッチに不具合があるのではないかと考えていました。もし、そうであればほぼPINダイオードの不良なのですが…

預かったリグをチェックすると、430MHzも出力は数W出ていました。しかし、パワーが安定せずフラフラとしていて、送受信を数分繰り返すとで送信できなくなりました。144MHzはパワーは30W程度は出ているのですが、こちらも出力フラフラとしています。しばらく送信をつづけるとこちらも出力がでなくなりました。

とりあえず分解して内部チェックです。

あら~PINダイオードは一度取り外された形跡があります。
アンテナスイッチは既にチェック済だったようです。チェックしたけど修理諦めたのかな~
面倒くさそうな予感がしてきました。

おやおや?入力の保護用ダイオード(TVS) D1056 P6KA18が多分普通のダイオード?に交換されていました。つけ方がなかなか強引(笑)
逆電圧か過電圧がかかったのでしょうね。焦げた跡もありますね。コンデンサも黒くなってます(笑)

そして、ファイナルFET Q1135 RD70HVF1は…
あらまぁ~こちらはドレインのコイルが変色しています。過電流で発熱したからでしょうね。
もともと発熱して変色するのを許容した設計(そんなことしないと思うけど)なのかとも思いましたが、ネットで他の分解写真をみても変色しているのはありませんでしたね(笑)
と、いうことはファイナルにも過電流が流れた可能性があるのか?
ますます怪しくなってきましたね~(笑)

ファイナルのゲートに接続されている430MHzバンドのPINダイオードD1107 HSC277がショートしていました。
まぁ、これがショートしても430MHzが出ない原因にはならないでしょうけど…
なんで壊れたのかな?
交換しました。
写真でランドのハンダが少し凹んでみえるのはテスターのピンで触ったあとです。

低容量プローブを使って信号をオシロで追いかけてみると、プリドライブのQ1132 2SK2596の出力が変です。ゲートのバイアスもかかって、信号も来ていそうなのに何かのタイミングで出力がなくなります。このような中途半端な症状の故障はあまり経験がないのですが、はんぶん死にかけているのでしょう。ボンディング不良だと144も430も同じように不具合が出そうなものなので、ゲートの絶縁膜不良なのかな?

交換用の2SK2596をAliExpressで手配しましたがFakeでした。中華サイトで販売されているファイナルはFakeがほとんどですが、これぐらいのFETなら本物までとは言わなくてもそこそこ使えるものかなと思っていましたが完璧な偽物でした(笑) 偽物なのに完ぺきとは(笑)

真ん中がAliExpressで購入した偽物ですが、モールドのゲート(?)がシルクです(笑) もう、この時点で怪しさ満点です。しかし、AliExpressの写真ではよくわかりませんでした。ヤフオクで入手したものはテープに入った状態のものですが見た感じは本物のようです。

Cgが7pFに対して615pF(驚)、なんならピンアサインから違ってます(笑)
普通のSW用FETですなこりゃ。「偽物にもほどがある」って奴です。そのまま付け替えたら壊れます。
セラーに偽物だから返金してと連絡したら、「全部つかったのか?残っているなら別の人に売るから送り返してくれ」と返信がきて驚きました。もちろん、「偽物だから使えないよ、このまま使ったら機械が壊れるよ」と回答し、こちらで廃棄処分にして返金してもらいました。たぶん、セラーも仕入れたものを売っているだけでFakeとは思っていないのではないでしょうか。
その後ヤフオクに出品されていた2SK2596を入手し交換しました。こちらは、シルクもパッケージも本物のようにみえます。

2SK2596を交換後は、430MHzも出力されるようになりましたが、APCを調整してもパワーは15W程度までしか上がりません。APCの制御がかかる範囲で調整しました。144MHzは30W程度です。ファイナルFETが劣化しているのでしょうね。定格出力は出ないものの 144,430MHzともに出力がふらついていた症状は直りました。

FT-8800は調整モードに入れば簡単にAPCを調整してパワーを上げることができるので、パワーアップして使われていたのかも知れません。なので、コイルも熱で変色していたのではないでしょうか?かなり酷使されたリグだと思われます。とりあえず、430MHzも15W程度ですが安定してパワーが出るようになったので、用途を限れば使えるようになったかなと思います。
CRはほとんど1005サイズのチップ部品が使われていて目がショボショボしました。

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