前回のDTMFコントローラを制御するには、当然DTMFを出す装置が必要なわけです。
よほど古いアマチュア無線機でなければ、ほとんどDTMF送信機能がついていますし、プリセット機能もついていますので、長めのコマンドをそのまま記憶させることができます。
しかし、無線機のUIは、視覚に障害をお持ちの方が記憶させたプリセットを選択、送信するのが難しいようです。(操作がタッチパネルだったり、DTMF操作に関しては音声ガイドがなかったり)
もちろん、DTMFマイクを使えばDTMFの送信自体はできますが、手探りで送信するのはなかなか大変です。
今回は、前回のDTMFコントローラを制御するためのDTMFキーヤーを作りました。
主な機能/仕様
- 物理キーであること
- DTMFコマンドをプリセットすることができること
また、プリセット内容はユーザーがあとから変更できること - 無線機とマイクの間に入れて使えるようにすること
- 送出するDTMFをモニターできること
回路図
主な部品
- マイコン STM32F103C8T6 モジュール、いわゆる Blue Pill
- DTMFエンコードIC
HT9200B、 DIP品でパラレル入力対応
パラレルの方がプログラムが簡単かなと考えて回路をつくりましたが、シリアルでも良かったかな。(制御の一部はシリアルで実装している)
U1の電源が+5Vになっているが、3.3Vの間違いです(パターンも間違えた) - EEPROM プリセット保存用
24LC256 手持ち部品の都合でこれにしましたが、大きすぎですね。もっと小容量で良かったです。 - キーボード aitendoで売ってる KP4X4PRO
- マイクコネクタ 8pin
入力はKenwood配列、出力はADONIS配列にして使用 - 汎用トランジスタ、FET
MUTE回路に2SC2878を逆トラで使用しているが、汎用トランジスタでOK。
2SC1740(デジットで500本入りを購入したので)は、2SC1815等でもOK。
PTTコントロール用のFETも適当なものでOK。 - スイッチングダイオード
1S2076Aは、汎用のスイッチングダイオードでOK。 - 3端子レギュレータ
78L05と書いているが、リグのマイク端子から電流をとると、変調にノイズがのったため切り離しています。未実装でOK。 - 5V DC電源
基板
今回も KiCadで回路図とパターンをつくり、JLCPCBに発注しました。
基板サイズはダイソーのケース ディスプレイボックスに入るように 90mm X 90mm にしました。
使い方
- 操作モードは、ノーマルモード、プリセットモード、学習モードがあります。
- 電源投入直後はノーマルモードで、キーを押すとその一音を送信します。
- プリセットモードに切り替えるには、キーの4とBを同時押します。
1~9を押すと、プリセットされたDTMFコマンドを送信します。
誤動作防止のため、一つプリセットを送信終わるとノーマルモードに戻ります。 - 学習モードはDTMFコマンドを1~9のプリセットに記憶します。
学習モードへの切り替えは、7とCを同時に押します。 - マイクは、全面のマイク端子に入力します。ピン配列はKENWOOD です。
- 後面の端子はアドニス配列です。リグにあった変換コードを使い、リグのマイク端子に入力します。
注意
- 回路図をみていただくとわかりますが、DTMFの大きさはマイクのインピーダンスに影響されます。基本はコンデンサマイクのように比較的インピーダンスが高いマイクを想定しています。ダイナミックマイク等のインピーダンスが低いマイクを使う場合は、VR1でDTMFミキシング量、R12の値を調整してください。はい、設計時の考慮不足です。
- DTMF送信中はマイクからの入力をMUTEするべきでした。基板を発注した後に気づいたので入れてませんが、ユニバーサルエリアに追加回路を入れた方が良いと思います。その時はR12も見直したくなりますね。
とりあえず、DTMFを送信するときは静かに息を潜めてください(笑)
回路を考えたり、S/Wを作ったりするのは楽しいのですが、ケース加工は面倒で嫌いです。